医療がデジタル化し続ける中、SaMD(医療機器プログラム)は、診断や治療の効率化を促進する重要な役割を担っています。しかし、従来の臨床試験データだけでは、実際の医療現場で得られるさまざまな状況を十分に反映することは困難です。そこで注目されるのがリアルワールドデータ(RWD)です。RWDは、日常診療や患者の日常生活から収集されるデータであり、より実用的な洞察を提供します。
たとえば、糖尿病管理アプリが患者の血糖値データをリアルタイムで収集・解析することで、患者ごとに最適な治療法を提案できるようになります。SaMDとRWDの連携は、医療の可能性を広げるカギとなるでしょう。
SaMDを使用して得られるデータは、臨床試験後もその効果や安全性を継続的に評価するために活用されます。たとえば、心臓疾患用のモニタリングデバイスは、日常生活の中での患者のデータを収集し、治療の進捗や薬剤効果を詳細に分析します。
AIを搭載したSaMDは、リアルワールドデータを活用することで診断や予測の精度を向上させます。医用画像診断ソフトウェアが実際の医療現場から収集したデータをもとにモデルを再訓練することで、より信頼性の高い診断が可能になります。
SaMDの市販後監視(Post-market Surveillance)には、RWDが欠かせません。例えば、新たな副作用や機能改善の必要性を迅速に特定するために活用されています。
臨床試験では対象になりにくい高齢者や基礎疾患を持つ患者のデータを収集することで、より幅広い患者層に対応した治療法が開発できます。
リアルワールドデータを分析することで、市場投入後の迅速な改善が可能になり、患者への価値提供が加速します。
従来の臨床試験のみに頼らず、実際の医療現場のデータを活用することで、研究開発コストを大幅に削減できます。
RWDは、患者が入力したデータや医療現場で記録された情報に基づいているため、不正確なデータやバイアスの混入が懸念されます。
患者の個人情報を適切に保護しながらデータを活用する仕組みが必要です。データ漏洩のリスクを抑えるために、暗号化や匿名化技術が求められます。
国や地域ごとに規制要件が異なるため、グローバル展開を目指す際にハードルとなることがあります。
リアルワールドデータは、医療の未来を形作る強力なツールです。個別化医療(Precision Medicine)の実現や、患者ごとのリスクを予測する予防医療の分野でもその価値は広がっています。また、データ共有プラットフォームや標準化技術の進展により、SaMDとRWDの連携がさらにスムーズになることが期待されています。
SaMDにおけるリアルワールドデータ活用は、医療の質を向上させ、患者と医療提供者の双方にメリットをもたらします。一方で、データ品質やプライバシー保護、規制対応などの課題も存在します。これらの課題を克服し、RWDの可能性を最大限に引き出すためには、データ管理の技術的進歩と規制の調整が必要となります。
SaMDとRWDが一体となることで、次世代医療がさらに現実のものとなるでしょう。この連携が医療にどのような変革をもたらすのか、今後も注目していきたいところです。
【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。