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デジタルヘルス・SaMD規制相談のポイント

新技術と医療機器規制が交錯する時代

近年、ヘルスケア領域ではAIを活用した診断支援システムや、スマートフォンアプリ連動型の治療補助ソフトウェアなど、いわゆる「デジタルヘルス」分野が急速に台頭しています。特に、ソフトウェア単体で医療を目的とするSaMD(Software as a Medical Device)は、従来のハードウェア中心の医療機器とは異なる特性を持つため、規制対応がより複雑になりがちです。

こうした新技術を医療機器として申請する場合、「どこからどこまでが医療機器に該当するのか」「アップデートをすると再申請が必要なのか」など、規制対応についての相談が後を絶ちません。そこで注目されているのが、医療機器CRO(開発業務受託機関)の専門知識やサポート体制です。

新技術に関する規制:デジタルヘルス・SaMDの特徴

ソフトウェア医療機器(SaMD)とは

ソフトウェア単体で医療目的を果たす製品

従来の医療機器はハードウェアと一体となった装置が中心でしたが、SaMDはスマートフォンやタブレット、PC上で動作するソフトウェアそのものが医療機器とみなされるケースがあります。

バージョンアップに伴う再申請

ソフトウェアであるがゆえに機能アップデートやアルゴリズム変更が頻繁に行われます。改変の程度によっては、再度の薬事申請や承認手続きが必要になることもあります。

デジタルヘルス製品の薬事規制

医療機器該当性の判断

すべてのデジタルヘルス製品が医療機器に該当するわけではありません。健康管理や生活習慣のサポートにとどまる場合は医療機器外となるケースも。ただし、診断・治療・予防を目的とする場合は医療機器に該当し、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の審査・承認や認証機関での手続きが必要です。

関連するガイドライン・省令

例えば、GCP省令QMS省令などはソフトウェア医療機器にも適用されます。さらに、海外に目を向けると、FDA(米国食品医薬品局)やCEマーキングなど、地域によってガイドラインが異なるため、グローバル展開を考える企業はさらなる複雑性が伴います。

相談内容:新技術を医療機器として申請するときの課題

規制の解釈が難しい

「ソフトウェアアップデートはどの範囲までなら届出で済むのか?」「どのタイミングでPMDAに相談すればいいのか?」など、個別事例ごとに規制要件が異なるため、社内だけでは判断が難しい場合が多いです。

臨床データの収集・評価方法

デジタルヘルスやSaMDでは、アプリの使用ログやクラウド上のビッグデータなど、従来とは異なる形でデータが蓄積されます。これを安全性・有効性評価に落とし込むためには、試験デザインやエビデンス創出方法を的確に計画する必要があります。

アップデート時の再申請や変更管理

ソフトウェアならではの頻繁な機能アップデートは、変更管理や品質保証体制(QMS)の整備が不可欠です。特に大幅な仕様変更では再申請が求められ、承認を取得してからの市販後管理も課題となります。

CROの役割:SaMD規制対応から臨床データ解析まで

SaMDの規制対応に特化したコンサルティング

医療機器CROは、ソフトウェア医療機器における薬事戦略の立案をサポートします。クラス分類や承認・認証の手続き、PMDA相談のタイミングなど、企業が迷いがちなポイントで的確なアドバイスを提供します。

製品開発サポート

試験デザインとプロトコール立案

データ収集方法や有効性評価項目、評価指標の選定など、新技術の特性に合わせた試験設計が求められます。

QMS省令に基づく体制構築

ソフトウェアのバージョン管理やセキュリティ対策なども含め、アップデート時の手続きや品質管理手法を一体で整備します。

臨床データの管理・解析

ログやクラウドデータの解析

デジタルヘルス特有の大量データを効率的に管理・解析し、医学的意義のある結果へまとめます。

エビデンス創出の報告書作成

報告書(CSR)や学術発表用資料の作成を支援し、PMDAや海外当局への提出にも対応可能。

具体的な支援フェーズ(例)

  1. 薬事戦略策定フェーズ

    - 製品概要(ソフトウェアの機能、対象疾患、医療現場での使用シーン)を整理し、クラス分類と承認申請経路を検討。

  2. 臨床試験(治験)・解析フェーズ

    - デジタル技術特有のデータ収集手法に合わせたプロトコールを策定。
    - 取得したログデータや画像解析情報を統計学的に検証し、エビデンスを構築。

  3. 承認申請・市販化フェーズ

    - PMDA・認証機関への提出資料作成、追加照会対応。
    - 上市後のバージョン管理や不具合対応など、製造販売後調査(PMS)や再承認プロセスも視野に入れる。

CROを活用するメリット

社内リソース不足の解消

新技術に対応できる薬事・臨床開発の専門家を常時抱えるのは難しい企業も多いもの。CROの人材とノウハウを活用すれば、短期間で必要な体制を整備できます。

審査リードタイムの短縮

医療機器CROはPMDAや認証機関が求める要件を把握しているため、適切な資料作成やレポート提出が可能。追加修正や照会対応にかかる時間を大幅に削減できます。

継続的なアドバイザリー

ソフトウェアのアップデートや改修の際にも、規制要件を踏まえた変更手続きをCROが継続的にサポート。長期的なパートナーシップで市場投入後のリスクも低減します。

まとめ:新技術の規制相談は早期にCROへ

デジタルヘルスやSaMDなど、医療機器としては新しい領域こそ、早期に規制対応策を固めることが重要です。「医療機器 新技術」「医療機器 規制相談」というキーワードで情報をお探しの方の中には、すでに開発が進んでおり、具体的な薬事申請手続きで悩んでいる企業も少なくないでしょう。

そんな時こそ、医療機器CROの専門知識が力を発揮します。SaMDの規制対応に特化したコンサルティングや製品開発サポート、臨床データの管理・解析までトータルで支援可能なCROをパートナーにすれば、社内リソース不足を補い、承認取得や市場投入までのプロセスを効率化できるはずです。

「新技術だから規制対応が難しい」と諦めず、ぜひCROの活用を検討してみてください。正しい手順と綿密な戦略さえあれば、デジタルヘルスやSaMDのイノベーションを形にし、患者さんと医療従事者が安心して使える医療機器を世に届けることが可能になるでしょう。

THREE SELECTIONS
⽤途で選ぶ医療機器CRO3選
医療機器向けのCROとしてサービスを提供している会社の中から、「医療機器(デジタル領域)」「医療機器(器具‧用品)」「細胞治療製品」の3つの用途に分けて、おすすめの会社を紹介します。
医療機器(デジタル領域)
開発なら
マイクロン
マイクロン
引用元:マイクロン公式HP
(https://micron-kobe.com/)
対象
  • スマホ、PCを介した医療系ソフトウェア
  • 診断、治療目的のヘルスケアアプリ
  • AIを使った疾患の予測、診断プログラム など
CROの特徴
  • 40件以上のプログラム医療機器(SaMD)の開発実績、アイデアを形にするべく支援
  • CTやMRI、ヘルスケアアプリまで、様々な診断・治療プログラムを開発
医療機器(器具‧⽤品)
開発なら
シミック
シミック
引用元:シミック公式HP
(https://www.cmicgroup.com/)
対象
  • 血管吸引カテーテル、ステントグラフト等の機械器具
  • 造影剤用輸液セット、インスリン注入器等の医療用品
  • インプラント、歯科用ユニット等の歯科材料 など
CROの特徴
  • 30種類以上の医療機器の受託開発実績、多種多様な製品開発が可能
  • 医薬品と医療機器、化粧品と医療機器等、分野を超えた同時開発が可能
細胞治療製品
開発なら
IQVIAサービシーズ
ジャパン
IQVIAサービシーズジャパン
引用元:IQVIAサービシーズジャパン公式HP
(https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan)
対象
  • 皮膚再生製品
  • 神経系再生製品
  • 循環器再生製品 など
CROの特徴
  • 再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績
  • 国内外の再生医療等製品の開発・薬事を熟知しているグローバル企業

【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。