海外に比べて日本は承認審査に時間がかかるため、SaMDの開発・実用化が遅れているといわれています。医療機器プログラム(SaMD)の承認について解説しています。
SaMDの開発・実用化は、先行して行っている海外に比べ、日本は後れを取っている状態。その原因のひとつとして、承認審査等に時間がかかるという点が挙げられます。
医療機器プログラムは、現状、従来型の医薬品や医療機器と同様に、臨床試験や治験を経て、薬事承認を受ける必要があります。これらの臨床試験や治験の実施には、莫大な費用と時間がかかり、薬事申請を行っても実際に審査が始まって承認されるようになるためには、数カ月から1年、場合によってはもっとかかってしまうこともあります。
そもそも、SaMDは医療機器にあたるのかどうか、その該当性の判断基準がわかりづらく、判断部署も統一されておらず、自治体ごとに判断が異なる状態でした。また、米国と比べてデジタルヘルスに特化した審査体制が足りず、従来の医療機器と同じ承認プロセスを用いているため、SaMDの開発スピードに合っていないという指摘もありました。
そこで、2021年に厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課が「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」を提示。該当性の基準の明確化や、PMDAに専門的な審査部門を新設して体制を強化するなどして、医療機器プログラムの早期実用化を促しています。
実際にSaMDの承認を行っているのはPMDAです。
ちなみに2023年6月16日時点でPMDA公式HPの医療機器の承認品目一覧(※)に掲載されていたすべての医療機器を調査したところ、医療機器プログラム(SaMD)として承認されていると思われるものは172件でした。
令和に入ってからSaMDの承認件数が急増しており、ますます発展する分野として期待されています。
2020年11月、厚生労働省は「プログラム等の最先端医療機器の審査抜本改革(DASH for SaMD)」を公表(※1:2023年3月調査時点)。海外のデータや先進医療のデータを確認し、プログラム医療機器の特性を踏まえた効率的な審査を行うことや、優先相談・審査、事前評価の充実、審査パートナー制度による審査期間の短縮など、革新的プログラム医療機器指定制度の検討を行うことを発表しました。
2021年4月には、厚生労働省とPMDA(医薬品医療機器総合機構)が、それぞれ別々に行っていたSaMDへの相談を一元的に受け付ける窓口「医療機器プログラム総合相談」を設定(※2:2023年3月調査時点)。
2020年には、医療機器の特性に応じた変更計画の事前確認制度の「IDATEN(Improvement Design within Approval for Timely Evaluation and Notice)」が導入されました(※3:2023年3月調査時点)。
これまで、医療機器の性能に関する変更を行う場合は、「一部変更承認申請」を行わなければなりませんでした。これには、数カ月の審査期間と手数料がかかり、製造販売業者にとって大きな負担となっていました。
SaMDは、これまでの医療機器と比べて、高頻度でバージョンアップが行われます。AIを用いた医療機器プログラムは、頻繁に学習データを更新することで精度が高くなり、さらなる性能向上が見込まれます。
こうした特性により、承認後、すぐに改善・改良が見込まれているSaMDについては、変更計画自体を審査の段階で確認し、その計画の範囲内であれば「製造販売承認事項軽微変更届出」を行うことで改良が認められるようになりました。そのため、審査期間や手数料の負担が大幅に軽減され、迅速かつ高精度な医療機器の提供につながると考えられます。
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22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。