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医療機器開発における支援元

医療機器の開発支援を行っている機関として、ここでは国立研究開発法人日本医療研究開発機構による「医療機器開発支援ネットワーク」をご紹介します。

参入障壁が高いとされる医療機器の事業化において、専門機関の連携のもと、切れ目のない円滑なサポートを提供する政府系事業です。

目次

医療機器開発支援ネットワークによる医療機器開発支援

国立研究開発法人日本医療研究開発機構は、令和2年度から医工連携イノベーション推進事業をスタートしました。
同事業の柱は2つ。「開発・事業家事業」と「医療機器開発支援ネットワーク」です。
うち「医療機器開発支援ネットワーク」では、日本のベンチャー企業を含む中小企業の医療機器業界への積極的な参入を支援しています。

もともとモノづくりが得意な日本産業界ですが、医療機器の開発・製造については、欧米諸国に比べて遅れをとってきた現状がありました。
その理由は、開発に要する時間が多いこと、製造物責任が重く参入リスクが高いこと、医療現場におけるニーズが製造現場へ届いていないこと、など。

一方で、医療機器開発は日本の成長戦略の大きな柱の1つでもあることから、政府は平成22年から医療機器開発事業の取り組みを本格化。平成26年には医工連携事業化推進事業の実施へと至りました。
平成27年から同事業が国立研究開発法人日本医療研究開発機構へ引き継がれ、現在の医療機器開発支援ネットワーク事業へと進展しています。

医療機器開発支援ネットワークについて

医療機器開発支援ネットワークでは、医療機器開発・事業化を目指す中小企業やベンチャー企業、大学等に対する補助金の給付、および医療機器開発に関する専門家の伴走型コンサルティングの提供を行っています。

伴走型コンサルティングとは、具体的には専門支援機関※1や地域支援機関※2、コンサルティング会社、金融機関、学会などが連携して提供する支援のこと。各機関が連携しているため、市場探索やコンセプト設計、研究開発、製造体制の構築、マーケティング等、企画段階から事業化の段階まで切れ目のない支援を提供することが可能です。

※1:PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)やJAAME(公益財団法人医療機器センター)など
※2:自治体や商工会議所など

医療機器開発支援ネットワークから受けられる支援内容

主な支援内容のカテゴリは次の通りです。

  • 事業戦略・コンセプト設計
  • 臨床ニーズ
  • 研究開発
  • 治験
  • QMS体制構築
  • 承認申請
  • 知財戦略
  • 資金調達
  • 販売戦略
  • 海外展開
  • 保険償還

これら支援内容のうち、課題の特定や目指すべき事業に関する相談は無料で受けられます。また、目指すべき事業を実現するための具体的な方法については、希望に応じて有料で専門家を紹介してもらうことができます。

過去には、同支援を通じてスムーズにFDA(米国食品医薬品局)の承認を取得した事例も見られました。

医療機器CRO(開発業務受託機関)による相談・コンサルティング支援

医療機器の開発・製造・販売を支援する機関として、医療機器開発支援ネットワークのほかにも、医療機器CROが知られています。

医療機器CROは、医療機器開発支援ネットワーク(政府系)とは異なり民間企業となりますが、医療機器の企画段階から販売後のサポートまで、同ネットワークと同様の幅広いサービスを受けられます。

医療機器CROとは

医療機器CROとは、医薬品開発に関連した臨床試験や認証申請サポートなどを行う専門的な民間企業のこと。正確には医薬品開発業務受託機関(Contract Research Organization)と言われます。

製薬会社や医療機関、行政機関などの依頼により、医療機器や医薬品、特定保健用健康食品、化粧品などの臨床開発・試験、および必要な認証プロセスに必要な手続きのサポート等を行うのが医療機器CROの主な業務。臨床開発段階では事業化の具体的な戦略立案支援も提供可能で、事業化が実現した後における各種調査にも対応しています。
なお医療機器CROは、欧米では1970年代から、日本では1990年代からスタートした業態です。

医療機器CROから受けられる支援内容

医療機器CROから受けられる主な支援内容は次の通りです。

  • 開発・試験
  • 臨床試験・非臨床試験
  • 薬事承認・認証申請
  • 保険適用申請
  • 市販後調査

これら支援を一括で、またはスポットで受けることにより、事業化に向けた各工程の効率化、コスト削減、時間短縮、人的リソースの確保などの様々なメリットが企業へもたらされるでしょう。

まとめ

医療機器の開発と事業化を目指す際、単独でプロセスを推進するよりも、医療機器開発支援ネットワークのサービスを利用したほうが、事業の精度も効率も向上するでしょう。また、自社開発にこだわらないのであれば、薬事認証手続きサポートも行っている医療機器CROから一括サポートを受けることも有効です。

当サイトでは、医療機器を3つの用途に分類し、それぞれの用途別でおすすめの医療機器CROをご紹介しています。興味のある業者様は、以下ページをご参照ください。

THREE SELECTIONS
⽤途で選ぶ医療機器CRO3選
医療機器向けのCROとしてサービスを提供している会社の中から、「医療機器(デジタル領域)」「医療機器(器具‧用品)」「細胞治療製品」の3つの用途に分けて、おすすめの会社を紹介します。
医療機器(デジタル領域)
開発なら
マイクロン
マイクロン
引用元:マイクロン公式HP
(https://micron-kobe.com/)
対象
  • スマホ、PCを介した医療系ソフトウェア
  • 診断、治療目的のヘルスケアアプリ
  • AIを使った疾患の予測、診断プログラム など
CROの特徴
  • 40件以上のプログラム医療機器(SaMD)の開発実績、アイデアを形にするべく支援
  • CTやMRI、ヘルスケアアプリまで、様々な診断・治療プログラムを開発
医療機器(器具‧⽤品)
開発なら
シミック
シミック
引用元:シミック公式HP
(https://www.cmicgroup.com/)
対象
  • 血管吸引カテーテル、ステントグラフト等の機械器具
  • 造影剤用輸液セット、インスリン注入器等の医療用品
  • インプラント、歯科用ユニット等の歯科材料 など
CROの特徴
  • 30種類以上の医療機器の受託開発実績、多種多様な製品開発が可能
  • 医薬品と医療機器、化粧品と医療機器等、分野を超えた同時開発が可能
細胞治療製品
開発なら
IQVIAサービシーズ
ジャパン
IQVIAサービシーズジャパン
引用元:IQVIAサービシーズジャパン公式HP
(https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan)
対象
  • 皮膚再生製品
  • 神経系再生製品
  • 循環器再生製品 など
CROの特徴
  • 再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績
  • 国内外の再生医療等製品の開発・薬事を熟知しているグローバル企業

【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。