医療機器の薬事承認・認証を得るためには、臨床試験(治験)や臨床研究で収集したデータを解析し、その結果を規制当局に提出するレポートにまとめる必要があります。高精度な統計解析は、製品の有効性・安全性を示す上で不可欠。解析の精度が低かったり、報告書の体裁が不十分だったりすると、PMDA(医薬品医療機器総合機構)や認証機関とのやり取りが長引き、開発スケジュールが遅延する可能性が高まります。
しかし、医療機器メーカー内部だけで膨大なデータを管理し、専門的な統計解析や報告書作成のすべてをカバーするのは簡単ではありません。特に近年では、デジタル医療機器(SaMD)など、ソフトウェアを介した大量のデータ解析が求められるケースが増えています。ここで頼りになるのが、医療機器CRO(開発業務受託機関)です。
EDC(Electronic Data Capture)システムによるデータ収集やデータベース構築、入力内容の不備を除去するデータクリーニングなどを行い、解析の基盤を整えます。
統計解析計画書(SAP)に基づき、ソフトウェア(SASなど)を使いながら有効性・安全性を検証する解析手法を選択。結果をグラフやテーブルにし、考察へつなげます。
解析の結果を学会発表やPMDA提出に耐えうる形で整理し、専門家の視点から妥当性や統計学的有意性を評価します。
臨床試験で得られた大量のデータを、論理的にわかりやすくまとめます。
規制当局に提出するための臨床試験報告書(CSR: Clinical Study Report)や、学会発表用の資料など、用途別に作成。国内外のガイドラインに合ったフォーマットを整えます。
PMDAなどの審査機関で追加情報が求められた際、再解析や追加報告書を作成する場合も。バージョン管理やファイル整合性の維持が重要です。
医療機器CROは、試験デザインやデータマネジメント、統計解析、報告書作成を一貫サポートできます。規制要件・薬事知識に長けたスタッフが在籍しているため、医療機器メーカーが見落としがちな細かいルールやガイドラインにも対応可能です。
国際規格(ICH-E3ガイドラインなど)に準拠した形式でまとめ、PMDA提出に必要なデータ要件をチェックします。
表やグラフの作成、学術的表現に関する助言など、発表の準備もサポート。
FDAやCEマーキングなど、海外の規制要件に合わせたレポートも作成可能なCROも多く、グローバル対応がスムーズに進みます。
自社で統計解析チームをゼロから立ち上げるよりも、即戦力としてCROの専門家を活用するほうが効率的。開発期間の短縮やコスト削減につながります。
データマネジメントと統計解析は、スキルと経験が必要な領域。CROの厳格なプロセスを通じて、高品質で再現性の高いデータをまとめられます。
GCP省令やQMS省令、リスククラス分類など、医療機器特有の規制要件を熟知しているため、PMDAや認証機関との折衝もスピーディーに。追加書類の作成や再解析への対応も円滑です。
国内だけでなく、欧米やアジアなど海外市場進出を見据えた際も、グローバルネットワークを持つCROならワンストップでサポートが受けられます。
ある企業がクラスIII相当の心臓関連医療機器の治験を行う際、CROがプロトコール立案からデータ解析・報告書作成まで伴走。PMDA承認プロセスを予定通りに完了し、国内で早期製品化に成功。
アプリ型医療機器を開発するベンチャー企業が、医師主導治験で取得した大量のログデータをCROへ委託。CROのクラウド環境でデータを管理しながら統計解析を実施し、PMDA提出用ドキュメントを整備。開発企業は短期間で信頼性のあるエビデンスを積み上げられた。
膨大な臨床データを正確に解析し、規制当局が納得するレポートを作成するには、専門スキルとノウハウが不可欠です。医療機器CROは、データマネジメントから統計解析、報告書(CSR)作成までをトータルで支援してくれます。特にデジタル医療機器や高クラス機器においては、リソース不足を補える重要なパートナーとなるでしょう。
もし、自社内だけでは対応しきれないデータ解析やレポート作成の課題があるなら、ぜひ「医療機器CROガイド」などを参考に、信頼できるCROへの相談を検討してみてください。専門家の力を借りれば、開発期間を短縮しつつ、規制当局への申請準備も万全に進められ、より早く安全で有効な医療機器を患者さんに届けることにつながります。
【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。