医療業界のDX(Digital Transformation)のひとつである医療機器プログラム(SaMD)についての基本情報をまとめています。
SaMD(サムディー)とは、「Software as a Medical Device」の頭文字を取ったもので、日本語では「医療機器プログラム」と呼ばれています。デジタル技術を活用して診断や治療をサポートするソフトウェアと、その記録媒体を含むものを指し、汎用コンピュータや携帯情報端末などにプログラムをインストールして使用します。
「医療機器」に該当するプログラムの判断は難しいのですが、厚生労働省はガイドラインで以下のように定めています。
SaMDのアプリケーションは、膨大な量の複雑なデータを瞬時に処理できるため、携帯性や費用対効果に優れ、バージョンアップによって改善や改良にも迅速に対応できます。
日本は海外に比べて、SaMDの開発・実用化が遅れているといわれていますが、承認審査に時間がかかることがその原因のひとつと考えられています。
SaMDは医療機器にあたるのかどうかの該当性の判断基準がわかりづらい、アメリカと比べてデジタルヘルスに特化した審査体制が足りず、従来の医療機器と同じ承認プロセスを用いているため、開発スピードに合ってない、などの課題が上がったため、厚生労働省はガイドラインを提示して、医療機器プログラムの早期実用化を促進。
プログラム医療機器の特性を踏まえた効率的な審査を行ったり、SaMDへの相談窓口を一元化したりするほか、医療機器の特性に応じた変更計画を事前に確認することで、その性能の変更にかかる審査期間を従来よりも短縮できる制度を導入しています。
「いつでも」「どこでも」診断や治療が受けられる医療機器プログラム(SaMD)は、高齢化が進む日本において、今後ますます需要が高まると予想されています。
海外では、ADHDの治療を目的としたアプリや、がん治療を受ける患者に遠隔モニタリングで助言を行うシステムなどが開発されていて、日本でもさまざまなプログラム・システムの開発が期待されます。
デジタル技術を用いたデジタルヘルス関連商品は、一般的な医薬品と比べて短期間かつ低コストで開発することができる上、保管や流通のためのコストもかからないので、今後、異業種からの参入が増えると考えられています。
しかし、「医療機器の該当性判断が難しい」「審査要件がわかりにくい」などの理由から、SaMDの開発に躊躇している企業もあるようです。
そこで求められるのがCROのサポート力。専門的な知識と豊富な経験を持つCROは、今後拡大が見込まれるSaMD市場にとって、重要な存在となるに違いありません。
病状や病気の診断を行うなど、医療目的として使用されるSaMDは、厳格な規制基準に従う必要があります。この点から、安全性や有効性に関する詳細な評価が求められることになり、厳格なプロセスを経る必要があります。
対してヘルスケアアプリは、ユーザー自身が健康管理を行ったり、ライフスタイルの改善を行うために使用するもの。ユーザーの健康に関する情報をまとめて分析を行うことにより、さまざまな情報提供を行ったり情報共有をサポートするためのアプリとなっています。SaMDのように厳格なプロセスは求められないものの、アプリ内ではデータ分析や情報提供に必要となる、ユーザーに関するさまざまな情報を取り扱うことになります。この点から、ユーザーのプライバシー保護を徹底すること、またデータの安全性に関する基準についても満たす必要があるといえます。
「デジタル薬」や「治療用アプリ」とも呼ばれているデジタルセラピューティクス(DTx:Digital Therapeutics)は、明確な定義はないものの、疾患などの治療や管理などを行うために医療的に介入し、治療効果をもたらす医療用ソフトウェアを指しています。海外では、糖尿病やうつ病などさまざまな領域でデジタルセラピューティクスが活用されていますが、現状日本では海外に比べて導入が遅れている状況となっています。
デジタルセラピューティクスには、診療の質向上・使用している医薬品の減少・国内の医療費の減少などさまざまな役割が期待されているものの、扱うデータが健康情報という非常にセンシティブな内容であることからデータ保護の仕組みをどう構築するかといった点や、利用する端末の確保と操作に関する問題をどうクリアするかといった点が課題として挙げられています。
令和4年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」の「<医療・介護・感染症対策>(4)質の高い医療を支える先端的な医薬品・医療機器の開発の促進」「No.13 プログラム医療機器(SaMD)に関する承認審査等の見直し」の内容から、厚生労働省では医療機器プログラムができるだけ早い段階で登録認証機関による認証に移行できることを目指し、主体的な認証基準の策定や改正を実施している状況となっています。
さらにPDMAによる承認審査において、開発事業者の予見性を高めることを目的として、審査のポイントに関する情報の整理と公表を行っています(有効性や安全性評価のための試験条件、評価のポイントなど)。このような状況から、こちらの記事では医療機器プログラムの認証基準と審査ポイントについてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
「プログラム等の最先端医療機器の審査抜本改革(DASH for SaMD)」が2020年11月に厚生労働省から公表されました。
このことから、厚生労働省とPMDAがそれぞれ対応しているプログラム医療機器に関連する相談について、「医療機器プログラム総合相談」として一元的に受け付けることができる窓口の設置が行われました。この窓口は、最先端のプログラム医療機器(SaMD)の早期実用化を目指すことを目的として設置が行われています。
医療機器プログラム総合相談は、「医療機器該当性に関する相談」「薬事開発に関する相談」「医療保険に関する相談」の3種類に分かれており、それぞれのニーズに応じて選択することになります。
こちらの記事では、「医療機器プログラム総合相談」の内容や、申し込み方法、申し込みを行った後の流れについて紹介していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
医療のデジタル化が進む中で、SaMD(医療機器プログラム)とリアルワールドデータ(RWD)の連携は、医療の進化を加速させる重要な要素となっています。
従来の臨床試験データでは捉えきれなかった実臨床の多様な状況を補完するRWDは、個別化医療や予防医療など、未来の医療の支えとして期待されています。
本記事では、SaMDにおけるRWD活用の意義や具体的な事例、さらにはそのメリットと課題について詳しく解説。SaMDの進化を支えるRWDがどのように活用され、医療現場での実用性を高めているのかを紹介します。
【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。