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医療機器業界における受託開発について 

医療機器業界では、新たな製品開発を行う際に受託開発が一般的に行われています。受託開発は、医療機器の開発経験があるメーカーに市場投入したい機器の機能や目的などに合った開発を依頼できる仕組みです。異業種からの新規参入にも活用できます。ここでは、医療機器業界の受託開発の種類やメリット、依頼の流れなどをまとめました。

医療機器業界におけるODMとOEMの違い

受託開発には、「ODM」と「OEM」があります。両者の共通点と違いを確認しておきましょう。

ODMは、Original Design Manufacturer(オリジナル・デザイン・マニュファクチャラー)の略称です。製品の開発から製造に至るまで、すべてを受託者が担当します。

OEMは、Original Equipment Manufacturer(オリジナル・イクイップメント・マニュファクチャラー)の略称です。製品の設計や開発、組立図などを委託者側が用意します。

OEMは、依頼側の企業が企画・開発・設計した製品をメーカーに注文してメーカーが製造する生産方法です。メーカーは、製造工程の一部を担うことになります。自社で企画や設計は作っているものの工場機能だけ委託したい場合に便利です。しかし、製品コンセプトはあるもののそのコンセプトを実現するための設計を作れない企業も少なくありません。そのようなときは、設計から製造まですべての工程を任せられるODMが向いています。

医療機器業界におけるODMとOEMの役割

医療機器業界においては、ODMもOEMも重要です。自社の技術や開発したい製品の特徴に合わせて選択しましょう。

ODMでの製品開発は、顧客ニーズに合わせたカスタム製品を提供できます。アイディアさえあれば、製造技術がなくても医療機器業界に参入することが可能です。医療機器業界の競争力が高まり、よりよい製品につながります。

OEMでの製品販売であれば、製品の製造のみを委託することでコストや時間の削減につながります。アイディアを開発・設計に落とし込み、生産だけ委託することで、工場を持たずに独自性の高い製品を製造できます。製品化実現に必要な技術を持つ工場に委託できるため、目的に合わせた柔軟な選択が可能です。

医療機器の使用は、人命に関わる可能性が高いため、ODMもOEMも厳格な品質管理と規制遵守が求められます。製品に欠陥があれば重大な事故につながりかねません。製品の安全性も大切ですが、同時にポイントとなるのは有効性です。その医療機器を使用するメリットが確立していなければ、市場に送り出しても意味がありません。OEMやODMを受託するメーカーには、高度な技術力や品質管理体制をもち、適切な規制遵守していることが求められています。

医療機器OEM/ODMのメリット

コスト削減

自社で設計・開発・製造する場合と比べて、コスト削減のメリットがあります。大規模な工場を保有するとそれだけ大きなコストがかかります。OEM・ODMを利用すれば工場維持コストが削減できることはもちろん、大量生産であれば単価を抑えることも可能です。専門的な技術や設備を持つパートナー企業を利用すれば、専門性の高い人材を確保するコストも抑えられます。

市場投入までの時間短縮

医療機器は、市場投入まで時間がかかることが特徴です。OEM・ODMを利用すれば市場投入までの時間を短縮できるメリットもあります。医療機器製造に関する知識や技術がない企業が自社で設計・開発すると、開発の時間はもちろん、申請手続きなどでも時間がかかります。OEM・ODMを活用すれば、パートナー企業の経験と知識、技術、設備を活かして開発期間を短縮し、市場投入までの時間を短縮することが可能です。

品質と信頼性の確保

OEM・ODMの受託企業は、品質管理体制を整え、様々な規制にも対応しています。もちろん、生産体制やレベルは企業によって差があるため、パートナー企業選びの際はしっかりした体制の企業を選択することが大切です。製品の設計・製造において、専門的な技術をもつパートナー企業に協力してもらえば、品質と信頼性を確保でき、高いレベルでの品質改善に取り組めます。

医療機器OEM/ODM案件の流れ

詳細の確認/ヒアリング

OEM・ODMを依頼するスタートの打ち合わせです。製品開発の目的や要望などを伝え、方向性を決定します。医療機器業界への新規参入の場合は特に、法律の知識が不明瞭なことが少なくありません。法律上の機器の役割など、詳細を相談するといいでしょう。

開発・製造の検討

打ち合わせの内容に沿って、開発・製造の検討に入ります。発売時期の希望なども考慮して、スケジュールを設定し、開発・生産計画を立てます。必要に応じて、製造契約書・売買契約書・量産製造の場合は製品の仕様書・製造委託書なども用意します。

薬事申請

医療機器は薬事申請を行い、認証を取得しなくてはいけません。市場に送り出す時期から逆算して早めに薬事申請することが大切です。手続きがはじめての場合は、薬事申請のサポートや代行までしてくれる会社にOEM・ODMを依頼するといいでしょう。

THREE SELECTIONS
⽤途で選ぶ医療機器CRO3選
医療機器向けのCROとしてサービスを提供している会社の中から、「医療機器(デジタル領域)」「医療機器(器具‧用品)」「細胞治療製品」の3つの用途に分けて、おすすめの会社を紹介します。
医療機器(デジタル領域)
開発なら
マイクロン
マイクロン
引用元:マイクロン公式HP
(https://micron-kobe.com/)
対象
  • スマホ、PCを介した医療系ソフトウェア
  • 診断、治療目的のヘルスケアアプリ
  • AIを使った疾患の予測、診断プログラム など
CROの特徴
  • 40件以上のプログラム医療機器(SaMD)の開発実績、アイデアを形にするべく支援
  • CTやMRI、ヘルスケアアプリまで、様々な診断・治療プログラムを開発
医療機器(器具‧⽤品)
開発なら
シミック
シミック
引用元:シミック公式HP
(https://www.cmicgroup.com/)
対象
  • 血管吸引カテーテル、ステントグラフト等の機械器具
  • 造影剤用輸液セット、インスリン注入器等の医療用品
  • インプラント、歯科用ユニット等の歯科材料 など
CROの特徴
  • 30種類以上の医療機器の受託開発実績、多種多様な製品開発が可能
  • 医薬品と医療機器、化粧品と医療機器等、分野を超えた同時開発が可能
細胞治療製品
開発なら
IQVIAサービシーズ
ジャパン
IQVIAサービシーズジャパン
引用元:IQVIAサービシーズジャパン公式HP
(https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan)
対象
  • 皮膚再生製品
  • 神経系再生製品
  • 循環器再生製品 など
CROの特徴
  • 再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績
  • 国内外の再生医療等製品の開発・薬事を熟知しているグローバル企業

【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。