医療機器は、人体へのリスクの程度に応じて複数のクラスに分類されています。うち、特定のレベルに属する医療機器については、厚生労働大臣等の承認を受けなければ製造・販売ができません。
ここでは、医療機器の認証制度について具体的に解説しています。
薬品医療機器等法(薬機法)では、人体への影響の程度に応じて医療機器を以下の4種類に大別しています。
これらのうち、クラスⅠは薬事承認が不要。届出のみで当該医療機器の製造・販売ができます。
クラスⅡは、厚生労働大事の登録を受けた民間機関による認証を得ることで、医療機器としての製造・販売が可能となります。
クラスⅢ・Ⅳは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の審査に合格し、大臣承認を受けた後で製造・販売できることになります。
日本の薬機法における医療機器は、一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の3種類に大別され、うち高度医療機器は2種類に分けられています。合計4種類の医療機器に分類される形となりますが、その概要は既述の通りです。
以下、クラスⅠからⅣまで医療機器、および別途で分類されている「特定保守管理医療機器」の薬機法における定義や具体例等について確認してみましょう。
高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがないものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するもの。
体外診断用機器、鋼製小物(メス・ピンセット等)、X線フィルム、歯科技工用用品、聴診器など
クラスⅠの医療機器とは、簡単に言えば「機器に不具合が生じたとしても、人体への影響やリスクが極めて低いと考えられるもの」です。仮にピンセットや聴診器などに不具合が生じても、人体への影響の程度は極めて軽微と考えられるでしょう。
クラスⅠの医療機器の製造・販売については、専門機関による承認は不要ですが、厚生労働省への届出は必要となります。
なお届出の申請者は、事前に第3種医療器五製造販売業許可を取得しておく必要があります。
高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するもの。
MRI装置、電子内視鏡、消化器用カテーテル、超音波診断装置、歯科用合金など
クラスⅡの医療機器とは、簡単に言えば「機器に不具合が生じたとしても、人体への影響やリスクが比較的低いと考えられるもの」です。仮にMRIや電子内視鏡に不具合が生じた場合、ピンセットやガーゼの不具合よりはやや高い影響・リスクが懸念されるものの、人体の健康に甚大な影響が及ぶことはないと考えられるでしょう。
クラスⅡの医療機器の製造・販売については、第三者認証機関における認証が必要です。第三者認証機関とは、あらかじめ厚生労働大臣の登録を受けた民間の第三者機関となります(12機関)。
医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合(適切な使用目的に従い適正に使用された場合に限る。次項及び第七項において同じ。)において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの。
透析器、人工骨、放射線治療機器、血管用ステントなど
ペースメーカー、人工心臓弁、冠動脈ステント、人工乳房など
クラスⅢの医療機器とは、簡単に言えば「機器に不具合が生じた場合、人体への影響やリスクが比較的高いと考えられるもの」。また、クラスⅣは「身体への侵襲性が高い機器で、もし不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあると考えられるもの」です。仮にペースメーカーに不具合が生じた場合、心臓の拍動に影響が及び、生命の危険に直結する恐れがあると考えられるでしょう。
クラスⅢ・Ⅳの医療機器の製造・販売については、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)での審査に合格した上で、厚生労働大臣の承認を受けることが必要です。
クラス分類された上記の医療機器とは別途の基準で、薬機法では「特定保守管理医療機器」という分類も設けています。
当該医療機器の保守点検や修理、その他の管理において専門的な知識・技術を必要とするもの。
手術用照明器、X線用テレビ装置(以上、一般医療機器)、心電図モニタ、全身用X線CT診断装置(以上、管理医療機器)、注射筒輸液ポンプ、人工心肺用システム(以上、高度管理医療機器)などです。
「クラスが高い」という理由で特定保守管理医療機器に該当するわけではなく、あくまでも「保守点検や修理、その他の管理において専門的な知識・技術を要する」という理由で特定保守管理医療機器であるか否かを判断します。
クラスⅠからⅣ、および特定保守管理医療機器についてご紹介しましたが、これらの中で特に確認しておきたい種類がクラスⅢ・Ⅳ(高度管理医療機器)です。
高度管理医療機器を開発・製造・販売する場合には、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による審査、および厚生労働大臣からの承認が必要となります。クラスⅢ・Ⅳ(高度管理医療機器)の承認には、専門性の高い各種工程が必要となることも併せて理解しておきましょう。
なお、PMDA審査と厚生労働大臣承認に関する詳細については、以下のページにまとめています。必要に応じてご参照ください。
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