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医療機器CROによる品質管理システム(QMS)の構築支援とは?

イントロダクション

医療機器製造における品質管理システム(QMS)は、製品の安全性と有効性を確保するだけでなく、企業の信頼性を高める重要な要素です。ISO 13485などの品質管理規格に準拠したQMSの導入は、規制要件への適合や市場競争力の強化に直結します。しかし、QMSを効果的に構築・運用するには専門知識や経験が必要であり、多くの企業が課題を抱えています。

医療機器CRO(開発業務受託機関)は、QMSの導入から運用、継続的な改善までをサポートすることで、企業が効率的に品質管理を実現できるよう支援します。本記事では、CROによるQMS構築支援の具体的な内容について解説します。

QMSの導入プロセスとCROのサポート

QMS構築の基本ステップ

CROは、企業がISO 13485やISO 14971などの規格に準拠したQMSを導入するために、以下の基本ステップを支援します:

  1. 要件分析:規制要件と企業の開発プロセスを評価し、必要なQMSの範囲を特定します。
  2. フレームワークの設計:品質方針、リスク管理計画、プロセス管理などを含むフレームワークを構築します。
  3. 文書化と標準化:必要な文書(SOPs、記録フォームなど)を作成し、プロセスを標準化します。
  4. 運用計画の作成:QMSをどのように運用し、改善していくかの具体的な計画を策定します。

これらのステップを専門的に支援することで、企業が初めてのQMS導入でもスムーズに進められるようにします。

ISO 13485に準拠した設計支援

ISO 13485は、医療機器製造業に求められる品質管理の国際規格です。CROは、規格に適合する設計を支援し、さらにリスクマネジメント(ISO 14971)との連携を考慮したプロセスを構築します。これにより、安全性と品質を両立する製造体制を実現します。

QMS導入における課題とその克服方法

QMS導入時には、以下のような課題が発生することがあります:

  • コストやリソース不足:QMS導入には初期投資や専門知識が必要です。
  • ノウハウの不足:規制要件に対する理解や経験が不足している場合があります。
  • 運用体制の整備不足:QMSを維持・改善するための体制が整備されていないことが多いです。

CROはこれらの課題に対して、リソース補完やトレーニング、デジタルツールの活用を提案し、企業が導入を成功させられるよう支援します。

QMS運用支援と継続的改善

運用の効率化とデジタル化

CROは、効率的な運用を実現するためにデジタルツールを提供します。たとえば、文書管理システムや監査管理ツールを導入することで、運用にかかる手間やコストを削減します。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、品質管理の自動化や可視化を進めます。

内部監査および外部監査対応

規制当局や認証機関による監査は、QMSの適切な運用を確認する重要なプロセスです。CROは、内部監査の計画・実施を支援し、企業が監査に対応できる準備を整えます。また、外部監査への対応プロセスについても、必要な文書やデータを提供することでサポートします。

教育・トレーニングによるスキル向上

CROは、従業員向けに教育プログラムやトレーニングを提供します。これにより、QMS運用に必要なスキルを従業員が習得し、自律的な品質管理体制を構築できるようになります。

QMSの継続的改善

データ分析による改善提案

CROは、運用中に収集されたデータを分析し、品質管理の改善点を特定します。たとえば、不適合管理や是正措置(CAPA)に関するデータを活用し、効率的な改善計画を提案します。

市場投入後の品質監視

製品が市場に投入された後も、品質を維持するために市販後監視(PMS)を実施する必要があります。CROは、顧客フィードバックや市場データを活用し、製品やプロセスの改善を支援します。

CROを活用するメリット

専門知識と経験の活用

CROは、QMS構築と運用における豊富な経験と専門知識を持っています。これにより、企業が内部リソースを最小限に抑えながらも、規制要件に準拠した高品質な管理体制を構築できます。

コスト削減と効率化

CROを活用することで、初期投資を抑えつつ効率的にQMSを導入・運用できます。また、デジタルツールやトレーニングによる効率化により、運用コストの削減も実現します。

まとめ

品質管理システム(QMS)は、医療機器製造において安全性と有効性を保証するだけでなく、企業の競争力を高めるためにも重要です。医療機器CROは、QMSの導入から運用、継続的改善に至るまでを包括的にサポートします。

企業がCROを活用することで、効率的かつ確実に品質管理体制を構築できるだけでなく、規制要件に対応した製品の市場投入をスムーズに進められます。QMSの導入を検討している企業にとって、CROは信頼できるパートナーです。

THREE SELECTIONS
⽤途で選ぶ医療機器CRO3選
医療機器向けのCROとしてサービスを提供している会社の中から、「医療機器(デジタル領域)」「医療機器(器具‧用品)」「細胞治療製品」の3つの用途に分けて、おすすめの会社を紹介します。
医療機器(デジタル領域)
開発なら
マイクロン
マイクロン
引用元:マイクロン公式HP
(https://micron-kobe.com/)
対象
  • スマホ、PCを介した医療系ソフトウェア
  • 診断、治療目的のヘルスケアアプリ
  • AIを使った疾患の予測、診断プログラム など
CROの特徴
  • 40件以上のプログラム医療機器(SaMD)の開発実績、アイデアを形にするべく支援
  • CTやMRI、ヘルスケアアプリまで、様々な診断・治療プログラムを開発
医療機器(器具‧⽤品)
開発なら
シミック
シミック
引用元:シミック公式HP
(https://www.cmicgroup.com/)
対象
  • 血管吸引カテーテル、ステントグラフト等の機械器具
  • 造影剤用輸液セット、インスリン注入器等の医療用品
  • インプラント、歯科用ユニット等の歯科材料 など
CROの特徴
  • 30種類以上の医療機器の受託開発実績、多種多様な製品開発が可能
  • 医薬品と医療機器、化粧品と医療機器等、分野を超えた同時開発が可能
細胞治療製品
開発なら
IQVIAサービシーズ
ジャパン
IQVIAサービシーズジャパン
引用元:IQVIAサービシーズジャパン公式HP
(https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan)
対象
  • 皮膚再生製品
  • 神経系再生製品
  • 循環器再生製品 など
CROの特徴
  • 再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績
  • 国内外の再生医療等製品の開発・薬事を熟知しているグローバル企業

【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。