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PMDAにおける「開発前相談」とは?

医薬品や医療機器の承認に至るまでのプロセスには様々なフェーズがありますが、各フェーズにおいて具体的な相談に対応している機関がPMDA。開発を予定している品目がある企業、開発をスタートしたばかりの企業に対しては、開発前相談と総称される各種の相談に対応しています。

当ページでは、PMDAが行っている開発前相談について詳しくご紹介しています。

PMDAの役割と「開発前相談」とは?

PMDAの役割

PMDAの主な役割は、医薬品や医療機器に関連する承認審査、および健康被害救済や安全対策への具体的な対応です。また、承認審査に向けて医薬品・医療機器を開発する企業に対し、開発・承認の各フェーズで相談に対応することもPMDAの大事な役割となります。

承認審査とは、医薬品や医療機器等の安全性・有効性に関し、治験から承認までの指導を行う業務、および審査を行う業務。健康被害救済とは、医薬品の副作用等で健康被害を受けた方に対して迅速に救済措置を取る業務。安全対策とは、承認後に市販された医薬品・医療機器に関する現場からの情報収集や情報分析、現場への情報提供などを行う業務です。

これら活動を通じ、国民保健の向上に貢献することがPMDAの最終的な役割となります。

なおPMDAは、承認審査や健康被害救済、安全対策を専門とする世界で唯一の公的機関となります。

開発前相談の概要

定義

開発前相談とは、開発を予定している品目、または開発初期段階の品目において疑問が生じた際、PMDA側の見解を確認するために行われる各種相談の総称です。

相談したい品目について、科学的評価が完了している必要はありません。当該品目の開発において必要な試験、治験の要否など、PMDA側が承認取得に必要と考える項目のアドバイス等を受ける形となります。

対象

相談の対象とされる主な例としては、医薬部外品ヒト試験計画確認相談、医薬部外品新添加物開発相談、医療機器相談など。もとより開発前や開発初期段階におけるPMDAへの相談の総称が開発前相談なので、広義では全般相談や対面助言フォローアップ面談、対面助言準備面談、治験相談等も開発前相談の対象となります。また、革新的医療機器条件付早期承認制度の要件該当性についての確認や、再製造単回使用医療機器の開発における留意点についての相談も開発前相談の対象に含まれます。

なお、対象品目の具体的な試験方法については、開発前相談の対象に含まれません。

目的

開発予定または開発途中の品目の承認を得る際、どのような対応が必要となるのかPMDA側の見解・解釈を確認するために開発前相談が行われます。

開発前相談の具体的な内容

コンセプトの妥当性確認

開発予定の品目、および開発を始めた当初の品目について、医薬品・医療機器としてのコンセプトが妥当かどうかを確認し、必要に応じて適切な助言を行います。

規制要件の確認

開発前の品目に関連する可能性のある規制を提示し、各規制をクリアするための要件等を確認します。

臨床評価の計画

臨床評価とは、臨床における医療機器の安全性・有効性を検証するため、当該医療機器の臨床データを査定し解析すること。開発前相談では、臨床評価の推進計画について相談ができます。

リスク管理

開発する予定の医薬品・医療機器に関するリスク管理についての相談が可能です。

開発前相談の流れ

開発前相談の中から、例として以下では「対面助言相談」の流れを確認します。その他の相談の流れについては、PMDAの公式HPをご確認ください。

申請方法

相談形式は対面かWebシステムになりますが、どちらの形式で相談するのであれ、まずは「予約依頼書」を提出します。

予約依頼書のフォーマットはPMDAの公式HPからダウンロードして使用。必要事項を記入の上、電子メールで提出します。

提出締切は毎週水曜日の正午。締切を過ぎて提出した書類は翌週分の受け付けとなり、相談は翌々週となります。

相談の進め方

予約依頼書の提出後、折り返しの連絡で具体的な相談日時を調整し、調整した日時に対面またはWebシステムで相談を行います。

原則として相談時間は30分以内。対面相談の出席者は5名が上限となりますが、Web相談の場合は人数制限なく出席できます。

フィードバックの受け取り方

相談中に疑問等を解決する形となるため、別途でフィードバックが行われるわけではありません。相談者は、相談内容を記録しておくことが大切です。

なお、相談終了後は「準備面談終了証」が発行されます。準備面談終了証は、相談プロセスにおける手数料分の減額証明となり、再発行はされません。紛失しないよう厳重に保管しましょう。

30分の面談で疑問点等の解消に至らなかった場合には、面談担当者に直接相談してください。

医療機器CROの役割

PMDAの開発前相談とは異なり、医療機器等の申請サポートを行っている専門機関として医療機器CROがあります。以下、医療機器CROの概要を見てみましょう。

CROとは?

CROとは、医薬品や医療機器、特定保健用健康食品、化粧品などの開発・臨床試験(治験)などをサポートしている民間の専門機関のこと。製薬会社や医療機関、行政機関などからの依頼に応じ、対象品目の開発・承認に至る各フェーズで様々な支援を提供しています。

主な支援内容は、医薬品・医療機器開発に向けた戦略立案、臨床試験モニタリング、データマネジメント、承認申請書の作成、市販後の各種支援など。高い専門能力を通じ、対象品目のスムーズな承認をサポートします。

CROの利点

CROのサポートを受けることで、医薬品や医療機器の開発および承認に至るまでのスピードの迅速化が期待できます。承認に至る各フェーズの効率化にもつながることから、結果として依頼企業のコスト削減にも貢献する可能性があるでしょう。

医薬品・医療機器の開発・承認には、多様かつ複雑な工程があります。これら工程を自社の人的リソースのみで適切・迅速に進められる企業は、限られるでしょう。CROを利用すれば、自社対応可能な大手企業に対する各種ビハインドを克服できる可能性があります。

開発前相談との連携

PMDAの開発前相談とCROのサポートを並行することで、より具体的・実務的・スピーディに承認を目指すことができます。

CROの選び方

CRO各社には得意領域があるため、CROを選ぶときには、自社の品目ジャンルを得意としているかどうかを確認する必要があります。

医療機器分野においてCROが対応しているジャンルは、大きく分けて「医療機器(デジタル領域)」「医療機器(器具・用品)」「細胞治療製品」の3つ。自社の品目が属するジャンルを明確にし、該当ジャンルを得意とするCROを選ぶようにしましょう。

まとめ

医療機器の開発を予定している企業様、または医療機器の開発に着手したばかりの企業様にとって、PMDAが行っている開発前相談は大変心強いサービスになります。円滑な承認取得に向けて疑問点等が生じた場合には、ぜひ開発前相談を利用しましょう。

ただし、あくまでのPMDAは相談に対する対応を行っているのみで、具体的な開発や承認申請における実務的なサポートを行っているわけではありません。あわせて医療機器CROのサポートも受けることで、より迅速な承認取得を目指すよう推奨します。

以下のページでは、御社に適した医療機器CROの選び方をご紹介しています。医療機器CROのサービスを利用してプロジェクトを円滑に進めたい企業様は、ぜひ参考にしてください。

THREE SELECTIONS
⽤途で選ぶ医療機器CRO3選
医療機器向けのCROとしてサービスを提供している会社の中から、「医療機器(デジタル領域)」「医療機器(器具‧用品)」「細胞治療製品」の3つの用途に分けて、おすすめの会社を紹介します。
医療機器(デジタル領域)
開発なら
マイクロン
マイクロン
引用元:マイクロン公式HP
(https://micron-kobe.com/)
対象
  • スマホ、PCを介した医療系ソフトウェア
  • 診断、治療目的のヘルスケアアプリ
  • AIを使った疾患の予測、診断プログラム など
CROの特徴
  • 40件以上のプログラム医療機器(SaMD)の開発実績、アイデアを形にするべく支援
  • CTやMRI、ヘルスケアアプリまで、様々な診断・治療プログラムを開発
医療機器(器具‧⽤品)
開発なら
シミック
シミック
引用元:シミック公式HP
(https://www.cmicgroup.com/)
対象
  • 血管吸引カテーテル、ステントグラフト等の機械器具
  • 造影剤用輸液セット、インスリン注入器等の医療用品
  • インプラント、歯科用ユニット等の歯科材料 など
CROの特徴
  • 30種類以上の医療機器の受託開発実績、多種多様な製品開発が可能
  • 医薬品と医療機器、化粧品と医療機器等、分野を超えた同時開発が可能
細胞治療製品
開発なら
IQVIAサービシーズ
ジャパン
IQVIAサービシーズジャパン
引用元:IQVIAサービシーズジャパン公式HP
(https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan)
対象
  • 皮膚再生製品
  • 神経系再生製品
  • 循環器再生製品 など
CROの特徴
  • 再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績
  • 国内外の再生医療等製品の開発・薬事を熟知しているグローバル企業

【このサイトに掲載する会社の選定条件】
2023年2月7日時点、「医療機器 CRO」とGoogle検索して表示された企業、および一般社団法人日本CRO協会の会員企業の中から医療機器向けのCROとしてサービスを提供している22社を掲載しています。
【3選に掲載する会社の選定条件】
22社の公式HPを調査し、以下の条件で3社を選出しました。実績・種類はすべて2023年4月時点のものです。
マイクロン…SaMDの実績(40件)が最も多い。
シミック…第一種製造販売業許可(許可番号:13B1X10146)を取得しており、受託開発した医療機器の種類が最も多い。
IQVIAサービシーズジャパン…再生医療分野において166以上の試験、6,600例以上の実績があり最も多い。